開催報告 【2022年1月30日(日)】《オンライン》国際シンポジウム「テリトーリオが実現する持続可能な地域づくり ―『イタリアのテリトーリオ戦略―甦る都市と農村の交流―』発刊記念―」
当研究センターでは、1月30日(日)に、国際シンポジウム「テリトーリオが実現する持続可能な地域づくり ―『イタリアのテリトーリオ戦略―甦る都市と農村の交流―』発刊記念―」を開催しました。日本語と英語の同時通訳を用い、オンライン(YouTube Live)により日本語と英語の2チャンネルで配信され、計177名の方が視聴しました(協力:法政大学エコ地域デザイン研究センター)。
本シンポジウムは、テリトーリオの視角からイタリアの魅力を包括的に考察した『イタリアのテリトーリオ戦略-甦る都市と農村の交流-(法政大学イノベーション・マネジメント研究センター叢書23)』(白桃書房、2022年3月)の発刊記念として開催されました。イタリアの農村は田園の恵みを活かしたスローライフの文化であり、地産地消、エノガストロノミアの分野が、イタリアらしい特徴として大きく展開しています。テリトーリオの豊かさといいかえてもよいでしょう。いずれも近代の工業化時代の開発志向の論理の次にくる価値にもとづくものであり、イタリアが本来もつクリエイティブな資質がそこにおおいに活かされています。同様に自然の恵みと長い歴史、伝統をもつ日本も、それと共鳴できる豊かな資質をもつ国であり、今後の地域再生に向けて、多くの共通性をもったイタリアの多彩な経験から学ぶことがたくさんあるに違いありません。
当日は、日本人研究者および実務家は会場(法政大学市ケ谷キャンパス、ボアソナード・タワー26階 スカイホール)、イタリア人研究者はイタリアよりZoomで参加し、木村純子教授(経営学部)の開会挨拶に続き日本人研究者による講演が行われ、陣内秀信特任教授(江戸東京研究センター、エコ地域デザイン研究センター)が「チェントロ・ストリコからテリトーリオへ」、木村純子教授が「テリトーリオの内発的発展」、須田文明氏(農林水産省農林水産政策研究所主任研究官)が「テロワール産品を通じたルーラル・ジェントリフィケーション」をテーマに報告を行いました。
イタリアからは、アンドレア・マレスコッティ氏(フィレンツェ大学経済管理学部准教授)が「農村ツーリズムとテリトーリオ産品の価値向上」、バルバラ・スタニーシャ氏(ローマ・ラサピエンツァ大学ヨーロッパ・アメリカ・比較文化学部助教授)が「質の良い地域産品、新しいライフスタイル、エノガストロノミア・ツーリズム」、アルマンド・モンタナーリ氏(SARA EnviMob Srl 副社長)が「アフターコロナ時代のテリトーリオとフード・ツーリズム」をテーマに報告を行い、実務家による講演では、長本和子氏(イタリア料理研究家、日伊協会常務理事)が「イタリア食文化の価値 」、田上清一郎氏(一般社団法人日本ソムリエ協会(JSA)認定ソムリエ、イタリア共和国駐日大使館公認イタリアワイン大使)が「イタリアワインの多様性とテリトーリオ」について報告を行いました。
トークセッションでは報告者全員による活発なディスカッションが行われ、それぞれの専門知識とイタリアの豊富な事例を用いてテリトーリオ戦略を語り、テリトーリオの価値創出による地域活性化の新しい理論モデルを提示しました。
※プログラム等はこちらをご参照ください。
※当日の模様をYouTubeで公開しています。
国際シンポジウム「テリトーリオが実現する持続可能な地域づくり ―『イタリアのテリトーリオ戦略―甦る都市と農村の交流―』発刊記念―」